最近、高齢者(80歳以上)の引越しの話をよく耳にする。
理由は様々であるが、長年住んでいた家をたたんで施設に入る場合が多い。
住んでいた家の処分は高齢者には無理なので、親戚やケアマネが手伝っている。
そこの家から出た物の中で着物などは工房に運ばれてくる。
火曜にはK工房に行っているのだが、入口の戸を開けると玄関にどっさり、たとう紙に包まれた着物が山と積まれていることがある。
留袖、喪服、夏の絽の着物や帯など季節季節の、その人のほとんどすべての着物がおかれているので、その着物を広げて身体にあててみると、着物の丈や幅から持ち主の身長や体重などが見えてくる。
それはまるで主を失ったぬけがらのようでもある。
着物の柄からはその時代の流行やその人の好み、センスといったものも伺える。
まだ今日でも充分に通用する物もあり、それぞれが持ち帰ったりして残った物は裂いて裂き織りの材料になる。
私としては着物より古本の方が関心があるのだがほとんど本は無い。
残念だが、きっと捨てられているのだろうと思う。
昨日は着物を持ち込んでいるところに出くわしたので、本は無いかと聞くと少しあったと言うので連れて行ってもらうことになった。
ご主人が亡くなって80歳代の奥さんが引越しをする為要らないものをダンボールに詰め込んでいた。
ダンボールを30個ずつ車でゴミ焼却場まで三回運んだそうだが、私が部屋の中を見たところほとんど減ったような感じは無かった。
いろんな物が足の踏み場も無いほど置かれていたらしいが本はあまり無かった。
普通はそうなんだろうと思う。
それにしてもほとんど使う事の無い物に部屋を占領されて、狭い空間で毎日を過ごすというのもどうなんだろう。
たくさんの物に囲まれている幸せという事もあるのかもしれないが....。
文庫本をたくさん頂く。
めずらしい本ではないので一箱古本市で50円くらいで売ってみよう。