24日(火)には朝一番に 『簪』1941年白黒を観に行った。
井伏鱒二の短編の映画化。
先日観た『按摩と女』1938年と似た舞台背景で、パンフによると
<温泉地(下部温泉)での男女の短い出会いを描く。囲い者の恵美(田中絹代)は、自分が落とした(湯の中に)簪が傷病帰還兵・納村(笠智衆)の足に刺さったと聞き、再び下部温泉にきて逗留し、納村の歩行練習を手伝う。>
笠智衆には叔父さんと呼ぶ二人の男の子を連れて来ていて、兄の方は『按摩と女』にも出ていた爆弾小僧で少し大きくなっていた。
温泉場には川が流れていて、橋は木の杭に長い板を何カ所か渡して作った粗末なもので、これは前回の『按摩と女』と同じ場所のような気がした。
夏の間、避暑の為に学者や年より、夫婦者、そして笠智衆とその連れの子ども達が逗留している下部温泉に、自分の落とした簪で怪我をした納村(笠智衆)を訪ねて田中絹代がやってきて、彼らと交流しながら過ごす。
囲い者として何不自由なく暮らしてきた恵美(田中絹代)は山の中の温泉場で、朝は皆と一緒に外でラジオ体操をしたり、歩行練習に励む納村を子ども達と一緒に声援したり、汗をかいた皆の洗濯ものを川でジャブジャブ洗濯したりする。
こうした生活は恵美にとって初めての経験で、自然の中での健康的な生活を生き活きと送る。
恵美を連れ戻そうとやって来た同僚に「もう帰らない。」と言い、「これからどうするのか。」と問う同僚に「おてんとさまが~..」と言うのだが、その言葉を忘れてしまった。
なんというセリフだったか、おてんとさまにおまかせする、といったような意味の言葉だった気がするが、最近すぐ忘れてしまう。
その時はいい言葉だなあと思っていたのに。
今回も戸外での撮影でたっぷりの自然を楽しませてもらった。