節分の3日は暖かな日和で、4日からまた寒くなるそうなのでシネ・ヌーヴォの3回目にでかけてきた。
今回は『按摩と女』1938年、白黒。
パンフによると清水のオリジナル・シナリオの名編。
高峰三枝子、徳大寺伸、佐分利信、そして爆弾小僧。
温泉場に客を求めて渡り歩く按摩たち、その温泉場に湯治にやってくる客。
そのなかには、山歩きの為に立ち寄った男子学生や女子学生の集団もあり、屈託のありそうな子ども連れの男や東京から来た秘密のありそうななぞの女もいる。
客たちは山道を馬車にゆられてやって来るが、按摩たちはこの石ころだらけの山道を歩いて行く。
あたりにひろがる光景。
温泉場の近くには大きな川も流れていて、木でできた低い橋がかかっている。
男客が連れてきた子ども(爆弾小僧)が釣りをする。
撮影場所はどこだろう。
今はまったく見る影も無く変貌してしまっているのだろう。
コンクリートで舗装された道路を観光客を乗せたバスや車が走りまわっているだろう。
川にも大きなりっぱなコンクリートの橋がかかっているだろう。
こうして便利になると言う事は幸せなことなのだろうかと、映画の中の風景を見ながらふと思う。
いつもながら特別の事件が起きるわけでもないのだが、最後に徳大寺伸の扮する按摩が温泉場から出て行く高峰三枝子の乗った馬車を追いかける場面が秀逸だったと思う。
徳大寺伸という俳優を初めて知ったのだが、とてもいい俳優だと思った。
あと2回分、券があるのだが『簪』と『もぐら横丁』を見ようと思う。